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状況を理解できないときは、変化が起こるのを待つしかない。

 

3-2 現状設備への評価
1.障害者による要望被験者から視覚案内について以下のような要望がある。
1)最近車内で見かけることが多くなった電子式表示装置は、たいへんに便利である。
さらに充実されることが望まれる。
2)列車情報は、列車行先、停車駅、次停車駅、のりかえ路線案内、接続待ち、通過待ち、追越状況など、できるだけ詳しいほうがよい。
3)詳しい列車情報の視覚案内は、改札口にもホームにも設置されることが望まれる。
4)車内放送の聞こえない障害者からすると、ホームの駅名標の数は不足している。
車内のどの位置からでも見えることが望まれる。
5)ターミナル駅の誘導サインが途中から見えなくなると、たいへんに不安になる。途絶えることのないよう連続的に設置されることが望まれる。
6)サイン自体も場所によっては混乱の原因になっている。
複雑すぎたり多すぎるサインを整理することが望まれる。
7)誘導方向のはっきりしないサインがある。
方向指示は明確に示されることが望まれる。
8)ターミナル駅では出る改札口をまちがえると、簡単に人に聞けないこともあって、目的ルートを回復するのが大変である。
出口案内は、改札口を出る前に設置されることが望まれる。
9)路線図式運賃表や駅周辺案内図など図示されたものはわかりやすい。
この指摘は、人に聞けない状況で行動する際、全体的な関係を把握できる表現方法の有効性を評価しているように考えられる。
10)ホームで行われている緊急度の高い放送内容は、全て視覚案内でも表示されることが望まれる。

 

2. 被験者による要望への評価
1)被験者からの視覚案内に関する要望は、次の3つの指摘事項として整理することができる。
a.視覚案内が頼りだから、その内容を充実させる必要がある。
b.視覚案内が頼りだから、その表現方法を充実させる必要がある。
c.異常状況など緊急度の高い情報を、視覚表示する必要がある。
2)これら被験者からの指摘は、聴覚から情報を得られない障害特性からみると、当然な内容と考えることができる。
3)ほとんどの情報ニーズは、視覚器官から8割以上の情報を得ているといわれる利用者一般にも共通していて、聴覚情報のない分、それが鮮明に指摘されていると考えられる。
4)聴覚障害者特有の情報ニーズは、次の2点に集約できる。

 

 

 

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